Northern Words

アラスカ留学の日記です。アラスカでなくても、ということをたくさん書きます

4月22日 くもり、でもすこしあたたかい よるからあめ、ゆきがまたふった

テラスハウスは恐ろしい。

想像していたより数倍、いや、数十倍恐ろしい。

いままで、仲良い友人が見ているのは知っていたし、もちろんかなり話題になっていることも知っていた。

絶妙にアマノジャクな僕にはそんなことは全く関係ないはずだった。

原因は、MacGaffinがやっている、リップスライムIlmariさんと女優のYOUさんのゆるい対談だった。YOUは、ある意味樹木希林の遺伝子を継ぎそうな女優のような気がしているし、勝手に。映画において、その人の素であるかのように演技をできる人はそういない。樹木さんはその一人だったと思う。樹木さんはどんな映画でも樹木さんだけど、映画の"ウラガワ"をしらない私たちにとってはそれが彼女の素だと思ってしまう。本木雅弘さんやYOUさん、阿部寛さんなどはそういう不思議な力を持った俳優さんなんだと思う。

まあそんなことは関係なく、MacGaffinのインタビューYOUさんがテラスハウスに言及していた。そういう大したことのないきっかけを理由に、僕はネットフリックスを開いてしまった。好きな歌に出てくる言葉を、日常生活で耳にすると、その歌が始まるようなやつです。あるよね、これ。

ともかく、今テラスハウス見てます。

つばさとショーン…。ありがとう、ありがとう…。

 

 

僕は、実は、ちいさいころから両親をママ、パパと呼び続けてしまって、お母さん、お父さんへの移行ができなかった男子だ。

だから、今では、もちろん恥ずかしくてママ、パパなんて呼べないもんだから、高校ぐらいから彼らをあだ名で呼んでいる。

今朝起きると、まみ(母)からラインが来ていた。

 

「わたるの夢見た。大丈夫?元気?」

 

僕は、寝ぼけ眼で、大丈夫~元気と送り、ゆるめのキャラクタースがハートを抱きしめているスタンプを送った。

母がいつも僕のことを心配しているのを知っているし、将来も無駄に心配しているのを知っている。それが母の仕事なんだろう、とも思っている。

と同時に、心配をすこしでも減らしたいな、とも思っている。その合間で、いつもゆるめの返信をしてしまう。

 

昼過ぎに返信がきた。

 

「まだ5、6歳だった。起きて思わずとなりにちゃんといるか見たよ。」

 

いないよ。いないし、ずいぶん前から別々に寝てるよ。

 

「まみのなかではまだこどもなんだね」

 

「一生ね。」

 

親の弱さを見ると、いつも泣いてしまう。

泣いた。

 

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4月15日 はれ

23時35分

オーロラが出ていた。そしてだいぶ酔っていた。

シンガポールのポップスを聴きながら淡いオーロラを眺めていたら、若い男性が話しかけてきた。

 

口笛を吹いてみて、というもんだから、指笛で大きな音を出してやった。

口笛を吹くと、オーロラが踊り出すらしい。

 

「ジェームズ。」といわれ、とっさに「ウォルター。」と自分の名前を偽った。

 

そうしてオーロラを見上げると、ゆっくりと消えてしまった。

 

おわり

 

4月13日

昨日夜、友達とふざけてたら、ルームメイトに借りている自転車の前輪を歪ませてしまった。

 そのあと、別に反省するわけでもなく、しこたまシエラネバダペールエールを飲んだ。

 

軽い二日酔いで起きたのは10時。

 

最近また分からなくなってきているなあ。

いろいろ分からない。

 

おわり

4月12日 くもり そらが低い日

星野道夫さんの友達のドン・ロスさんに会った。

偶然会ったみたいに書いたけれど、日本でもうすでにあっていて、今日の朝ベーグル屋で待ち合わせしていた。ドンは20年くらい前、ブッシュパイロットとしてアラスカ中飛び回っていた。

星野さんがどのようにドンと知り合ったのか、わからない(もしかしたら星野さんの本の中に書いてあったかもしれない)けど、星野さんを乗せて北極圏の果てや霧に覆われる南東アラスカによく飛んだらしい。

 

ドンはありがたいことに僕を好いてくれている。

僕を好いてくれる人は、何故僕を好いてくれるんだろう、と毎回考える。

相手が嫌だと思うことはできるだけしたくない、とは思っているし、できるだけしないように心掛けているけれども、何故好いてくれるかはわからない。

もしかしたら嫌われてっかもしれないから、あんまり踏み込まないようにしておこう、とは考えるけれど、好かれてるからこれくらいやっていいだろうという思考はない。

大体やりすぎちゃったときは、考えていない。行き過ぎちゃうときは、見えているものが少ない。

 

ドンは、27年前に撮影された某局制作の映像素材のDVDを持っていて、それを見たいと言っていた。ドンのパソコンは10年前に壊れたらしい。この間壊れた、みたいなノリで言われたけど。

今回はその手助けのために会った。そのDVDに、は星野さんと某局の製作スタッフが、ドンの操縦する飛行機で、カリブーの大移動を追う旅の一部始終が収録されていた。僕は何冊も星野さんの本を読んでいたけれども、映像で星野さんを見るのは初めてだった。星野さんガチ勢に見えてガイアシンフォニーも見てないのだ。

星野さんは、どこか緊張気味にカメラに話したり、ひとりごとのようにつぶやいたりしていた。その不慣れなふるまいの中に、やさしさを感じた。星野さんのつぶやきをドンのために訳しながら、僕は普段どういう風にしゃべっているのかな、なんて思った。

 

 

今学期はあまりいい食事をしていない。

高い食事とか、安い食事ということではなくて、栄養と新鮮さぐあいが悪い。

腐りかかったものばっかり食べてると、からだもこころも酸化していくような気がする。あぶない。明日か明後日買い物に行こう。

そう思いながらも、買い物には行けず(行かず)、大学のカフェで買った、腐りかかったキャベツと、腐りかかったセロリと、他の腐りかかったみどりの葉っぱと、チキンをくちに詰め込んでいます。

 

おわり

4月11日 とってもはれ くもひとつない

昨日、雲がすこしあったほうがいい、と書いたら、今日は雲一つない青空です。

もちろんこれも気持ちいい。

 

和田忍さんという漫画家さんの、お小遣いをくれるおじいちゃんのマンガを読んで泣いた。

corkbooks.com

僕は母方のおじいちゃんとおばあちゃんと、1歳になって少ししてから、一緒に住んでいる。もう22年も一緒に住んでいる。僕の人生のほとんど。

2人ともいまでもとっても元気で、最近スマートフォンを始めた。スマートフォンのインターフェースって、もうほとんど記号化(アイコン化)されていて、初めて使う人には優しくないなあ、と思いながら、この間一時帰国した時に優しくゆっくり教えた。

 

おばあちゃんは一か月に一回くらいの頻度で、「お昼代。」といいながら、僕に5千円を握らせる。僕がいつも「いいよ、」と言って返そうとするもんだから、おばあちゃんは握らせた後、ささっと逃げる。貧乏を知っている人で、絶対にお金の無駄遣いはしない。なのに孫には5千円の昼飯を食わせようとする。

 

元銀行勤めだったおじいちゃんも節約家で、無駄遣いを絶対にしない。そして、おじいちゃんはめったにお金をくれない。お小遣い的に小銭をもらったこともあまりない。

あるとき、おばあちゃんが肺炎をこじらせて入院したことがあった。おばあちゃんはとても強いひとだったから、その分みんな動揺した。本人は、「みんなに迷惑をかけてしまう」なんてことを言いつつも、元気そうだった。

おじいちゃんはしぼんだ。とても寂しそうだった。あんなおじいちゃんは初めて見た。入院から2、3日後、お見舞いから帰ってきたおじいちゃんは、うちの車庫でくるまの角をぶつけてしまった。さらにしょげていたように見えた。

 

結局、代わりに僕がお見舞いやら、洗濯物やらを運ぶ役目を任された。

僕が、緑のフライタグに文庫本や財布を投げ入れ、きれいなタオルが入った紙袋を持って、「いってきます」と言いかけたとき、おじいちゃんが部屋から出てきた。「病院の駐車場代。」といって、5千円を差し出してきた。そんなかかるかっ。

千円もしない駐車場代を差し引いた、残りの4千円はお小遣いだった。お年玉以外にお小遣いをもらったのは初めてだったかもしれない。その5千円を受け取った後、えらくくすぐったい気分だったことを覚えている。

 

病室に着くと、僕とおばあちゃんは病室を出て、面会質に行った。そして、残りの4千円で、病院の自販機のお茶を買っておばあちゃんにあげた。僕はコーヒーを買った。それを飲みながら、港北ニュータウンのなだらかな丘陵を眺めながら、とりとめのない話をした。いつも夕ご飯越しに話す会話とは少し違った。もうおばあちゃんは強くないこと。おじいちゃんももしかしたら、もう強くないこと。そんな彼らの弱さを感じ、僕は、おばあちゃんと話しながら泣きだしそうになった。でもあたたかな気持ちだった。その時間が、おじいちゃんの5千円がくれたお小遣いだった。

 

おわり

4月9日 くもったりはれたり あたたかい日

 朝何度寝したかわからないほど何度も寝落ちした。春眠暁を覚えず。本当は二度寝すらもしたくない、起きなきゃいけないのに寝てしまう、その睡魔に引きずり込まれる感覚は好きではない。

 ようやく起きたときには、授業開始30分前だった。急いで準備をし駆け足でキャンパスに向かう。早めに歩けば10分で教室に着ける。

 だからカフェによってコーヒーを買った。もう間に合わなそうだから、いっそコーヒーでも買ってくか、ってとき、気持ちいい。でも顔は険しめに、急いでる風。神妙な面持ちはとても大事。

 

今日もわりと何もせず音楽を聴きまくったり、音楽関連の記事を読み漁った。

スナーキーパピーの新アルバム、前回のアルバムとガラッと変わっていて面白いけれど聴き方わからないなあ。

ネットフリックス配信のリラックマのシリーズのBGMをくるりの岸田さんが作ってるけど、いいなあ。

 

ツイッターは怖い。どんどん色々な人の発言が無数に出てきて、追っかけようとするとキリがなくなってしまう。こういう生き方は良くない。次から次へと、出てくるものを手当たり次第に掴もうとする生き方。自分にとって有用なツイートだけ厳選してくれる昨日あったらいいな。AIである!えーあいー!!

 

途中からiPhoneのアプリでブログを書き始めたけど、ぶら下がりが半角になってしまったから、もはやぶら下がり無くした。どっちが読みやすいのだろうか。どっちでもいいか。

 

マックデマルコによる細野晴臣の曲のカバーを聴きながら眠るとする。すやすや

Honey Moon

Honey Moon

 

おわり

 

4月8日 くもったり晴れたり

 留学期間も終盤に差し掛かった日の夜、突然に日記を書き始める。

 実は、突然というわけでもなく、前から書き溜めたり書き溜めなかったりしていた。好きな子がツイッターで、言葉を大事にする、と言っていたもんだから、気軽になにかを書いて気軽にネットにアップロードすることが、だいぶ怖くなってしまった。3年くらい前のツイートだけど。ツイッターは恐ろしい。

 

 仲の良い友人に不定期で手紙を書いていたのけれど、全員実家からどこかへ引っ越してしまったみたいでこちらから送ることができなくなってしまった。

 あの手紙は、自分を振り返るいいツールになっていたのに!その道具化しようという心意気がいけなかったか。

 というのを建前に、日々の記録を書き始めた。

 

 ネイティブアートの授業でユピックマスクの彫刻の続きを彫った。Anti-cutting glovesって日本語でなんていうんだろう、と思ってあてずっぽうに「切り傷 防止 手袋」と検索を書けたらそのままの名前の商品が出てきた。心の中で拍手した。

 その切り傷防止手袋をはめながら彫っていたはずなのに、気づくと左手の人差し指が切れていた。血が出ない程度に。血が出ない程度、というのも厄介なんだな。切ったことを忘れてしまうから。

 

 いつか、エレクトロニクス系の音楽をディグっている時にダウンロードしたんであろうアーティストをアップルミュージックで再発掘した。「Tycho」というサンフランシスコのプロデューサー兼グラフィックアーティストらしい。メロウでポップですこしロックなサウンドがいい。エレクトロニクスは詳しくわからないので(音楽全体もわかっているわけじゃないけれど)適当な評価はできないが、とても自由な流れがありながらも、安心できる秩序もある感じがずっと聞きたくなる。大方のエレクトロニクスはそれが当たり前か?

 

 今日は、3週間ほどこころにずっしりと影を落としていた芸術人類学のプレゼンを終えた。3、4週間影を落としていたのにも関わらず、いつまでも大人になれない僕は、直前までプレゼンを完成させていなかった。いや、逆か、直前まで完成させないから長い間影を落とされる、課題に。

 

 昨日まで高校の同期がフェアバンクスに遊びに来ていた。仲いい人と数日べったり一緒に生活すると、僕はだいぶ最初のほうからだるくなってくる。実は来る前からだるい。来てほしくないな、とかこの旅行キャンセルしたいなと思う。で最後の最後で、やっと自由になれると思い、強い解放感を味わう。そのあとは長めに寝る。

 今回も13時半にフェアバンクスの飛行場で彼を冷たく見送った後、アパートに帰り2時間昼寝をした。翌日にプレゼンが控えているのに。そのあと2度起きて、もう2度寝た。

 今日大学から帰ってきて、ひとりで部屋に入ると、寂しくなった。めんどくさいやつだね。

 

オザケンツイッターを始めたのですぐにフォローした。

 

おわり